2015年03月27日

J-SHIS 地震ハザードステーションでは、様々な情報をAPIの形で提供しています。J-SHIS Mapで実際に利用している統計データを、一般の開発者にも使える形で提供しており、地震防災に役立つAPIとしては、代表的なものと言えます。

J-SHIS Web API一覧 | J-SHIS

ただやっぱりちょっと敷居が高く感じる人も多いかも知れません。普段、APIを活用している人でも、地震活動モデル情報提供API(断層形状)とか深部地下構造情報提供API(3次メッシュ)と言われても、活用の方法がイメージしづらいですよね。そこで今回は、初歩の初歩、とても単純なスクリプトでどんな活用が可能か、実際に試してみたいと思います。

J-SHIS Web APIを使ってみる

J-SHIS Web APIのうち、今回は地震ハザード情報提供API(250mメッシュ)というAPIを使います。「指定した250mメッシュの30年震度5弱以上/5強以上/6弱以上/6強以上となる確率等、J-SHIS地点情報で出力可能な地震ハザード属性を提供します」とありますが、特定の地点周辺の「揺れやすさ」※の基本的な情報を返してくれるAPIと考えれば良いでしょう。

実際にこのAPIでどういう情報が取得できるかですが、実はドキュメントを読み込むよりまず、URLビルダーというツールを使うと、直感的にその挙動が理解できるので、お薦めです。

スクリーンショット 2015-03-27 9.37.12

ふむふむ、そうしたら、指定した場所の30年間の揺れやすさ、を表示できたら、自分が気になる場所の揺れやすさがわかって、わかりやすそうだな、と思いました。場所の緯度経度情報が必要になりますが、これにはGoogle Geocoding APIを使ってみます。

$url = "http://maps.google.com/maps/api/geocode/json?address='.調べたい場所.'&sensor=false";
$json = file_get_contents($url); 
$data = json_decode($json, true);

$lat = $data[results][0][geometry][location][lat];
$lng = $data[results][0][geometry][location][lng];

これをJ-SHIS APIに渡してやります。

$url = 'http://www.j-shis.bosai.go.jp/map/api/pshm/Y2014/AVR/TTL_MTTL/meshinfo.geojson?position='.$lng.','.$lat.'&epsg=4612';
$json = file_get_contents($url); 
$data = json_decode($json, true);

これで各値が出力できます。

cho '

30年間で震度5弱以上となる確率
'; echo $data[features][0][properties][T30_I45_PS]; echo '

'; echo '

30年間で震度5強以上となる確率
'; echo $data[features][0][properties][T30_I50_PS]; echo '

'; echo '

30年間で震度6弱以上となる確率
'; echo $data[features][0][properties][T30_I55_PS]; echo '

'; echo '

30年間で震度6強以上となる確率
'; echo $data[features][0][properties][T30_I60_PS]; echo '

';

こうしてできあがったスクリプトがこちら

スクリーンショット 2015-03-27 9.43.19

六本木ヒルズで検索すると。。。

スクリーンショット 2015-03-27 9.43.25

六本木ヒルズの揺れやすさを返してくれます。簡単でしたね!

J-SHIS Web APIの可能性

勿論、今回は初歩の初歩ですので、実際は地図情報へのマッピングや時系列での情報整理など、様々なチャレンジをすることができます。また、地震ハザードのデータに関する理解も必要で、この辺りについては、過去の連載をご参照ください。

ただ、今回のように機能を切り出して利用することも可能ですし、Webサイトでの利用だけではなく、位置情報をベースにしますので、スマホアプリなどとも相性の良いAPIです。以前、ユレッジでも防災のハッカソンを取材していますが、そういう機会でもぜひぜひ活用いただきたいWeb APIです。

世の中的にもオープンデータが話題ですが、J-SHIS 地震ハザードステーションでは、可能な限り全国各地に配置された計測機器で収集した情報を、一般に開放することで、未来の地震防災に寄与できるよう、つとめています。皆さんのアイデアやスキルで、ぜひ新しい地震防災のツール、生み出してみてください。

※本記事での「揺れやすさ」とは、1.日本周辺で発生しうると評価されている全ての震源断層の発生確率と規模と位置、2.それらの震源断層から「揺れやすさ」を知りたい場所までの距離(震源断層から離れるほど揺れは小さくなる)、3.その場所の地盤の増幅率(柔らかい地盤だと揺れは大きくなる)の、3つの要素すべてを考慮した上での揺れの大きさごとの確率の値(0.4348…だと約43%)を表示しています。

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