2015年10月02日更新
「まち」を「つくる」:COMICHI石巻 ー災害後のまちづくりを考える
被災、という言葉と、復興という言葉。防災ということを考えるにあたって、直後の災害対応について考えるだけでなく、より長い時間軸、人や街や共同体が新しい姿を模索していくことを中長期的な視点で捉えることは、このユレッジというプ…
2015年03月07日
こんにちわ。ユレッジ編集長の加藤康祐です。皆さん、この3月に国連防災世界会議というのが仙台で開催されるのをご存知でしょうか。2015年3月14日から3月18日までの期間、第1回(1994年、於:横浜)、第2回(2005年、於:神戸)に続き第3回目として東日本大震災の被災地、仙台で開催される国際的な防災戦略について議論する国連主催の会議です。ユレッジでも取材に伺う予定です。
それに先立ち、今日は少し、自分の身の回りにあった出来事をお伝えしようと思います。
先日、実家で祖父の遺品の整理があった時に、100年ほど前の関東大震災の絵葉書および新聞が出て来ました。とても驚きました。仏壇の下に保管してあったとのことで、保存状態も比較的良いものと思います。
最初、絵葉書を作ったのか、と思ったのですが、当時は写真を共有する術も、コンテンツ化する術もない中で、震災の教訓や記憶を形に残すため、こういった工夫がされていたことを見て取れます。包には前代未聞大惨害 関東大震火災とあり、なまずのイラストが書かれています。「火災」が大きな被害であったことも、その名前から見て取れます。
こちらは報知新聞撮影局撮影共編 大正大震災写真帖とあります。最初に気になったのは、「其筋の注意により無残なる死傷者の写真は掲載せずご諒承を乞う」という注意書きがあったこと。当時のメディアが持っていた倫理観を窺わせます。
不眠不休で交通網の復旧を、と言っても、ツルハシで作業する写真ですし、避難民でごった返す写真も家財道具一式を抱えての様相ですし、先の東日本大震災とこの関東大震災の写真では、「同じこと」でも時代で全然その意味が違ったのだなということが見て取れます。インフラが復旧し、軍艦から物資が届き、亡くなった人を人々が悼む。もしかするとこの記録は、関東に大きな地震が起きること、ということを考える上で、他の場所で起きた地震よりリアリティを持ち得る歴史かも知れないと感じました。
100年近く前の記録が、自分がずっと過ごしていた同じ屋根の下にあったとは。こう言った記録は、「記憶の風化」を考えると、やはり形に残す意味があるものだと感じました。首都圏での大規模災害、100年前の話でも「今」に想像力を働かせるためにも、貴重な資料だと感じました。
今回の第3回国連防災世界会議、興味深いパブリック・フォーラムがたくさん行われるのですが、そのうちユレッジが注目するものをいくつかご紹介させていただきます。
以前、Race for Resilienceのアイデアソン、ハッカソンをユレッジでも取材しましたが、今回のテーマは「宇宙 X 防災」。直感的にイメージしづらいかも知れませんが、宇宙には人工衛星が飛んでいて、僕らも日々お世話になっている技術です。GPSなどはイメージわきやすいかもしれませんね。超小型衛星ほどよし3号4号の防災的利活用ワークショップ(アイデアソン)なども行うとのことです。
情報レスキュー隊(IT DART)は災害発生時に迅速に被災地に赴き、情報の収集・活用・発信に関わる支援活動を行う「情報 x ITの緊急支援チーム」です。特に災害の急性期、情報の収集・活用・発信の仕組みを迅速に起ち上げなくてはなりません。そのためのシミュレーション訓練および人材育成プログラムを開発中しています。当日はショートスピーチとグループディスカッションが行われます。災害の急性期、どれだけ的確な対処ができるかということは、その後の復旧、復興を考えても、被害を最小限に食い止めるために大変重要なフェイズです。東日本大震災時にも多くのプロジェクトが立ち上がりましたが、一方で僕らはあまり「準備できていなかった」とも言えます。IT DARTの取り組みは、その準備を十全なものにするためのものとも言えます。
http://www.asahi.com/articles/ASH337DC5H33UNHB01F.html
石巻市で地元の若者にソフトウェア開発やウェブデザイン技術を教える一般社団法人「イトナブ石巻」。このイトナブでもこの国連防災世界会議へ出展するため、今年1月から、スタッフと地元の高校生の3人でアプリ開発を進めてきたとのことです。被災地の若者たちが中心となって、ITを活用し、どう言った防災アプリが発表されるのか注目しています。
もうすぐ、ユレッジがスタートして丸2年が経過しようとしています。2年目のユレッジは「レジリエンス」をテーマに防災を考えていこうと試み、ITのみならず、仏教、社会起業、農業、街づくり、ジャーナリズムなど、様々な視点からアプローチして来ました。もうすぐ3月11日が訪れます。「もしかすると必要になる時が来ないかも知れない準備」が防災です。しかしながら、想定外の事態が甚大な被害を生むことを、僕らは目の当たりにしました。仙台で開催される国連世界防災会議、一般の方々も参加できるパブリック・フォーラムも充実していますので、是非、足を運んでいただけると良いと思います。
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